Spotify Premium Music × 映画監督 松本花奈「23歳の映画監督・松本花奈が、青春の思い出を振り返りながら繰り返し聴くプレイリスト「Drive song」とは。」音楽と関係の深いカルチャーに対する“独自の視点”を深掘りインタビュー。

Spotify Premium「Music×Culture」は、様々なジャンルを代表するクリエイターや新進気鋭のアーティスト8名をゲストに招き、“創作活動”と“音楽”の関係を、新たな視点で紐解いていくキャンペーン。ここでは、ラジオプログラムでオンエアされたお話に加え、WEB限定のスペシャルインタビューを掲載。

1998年大阪府生まれ。2014年に初の長編監督作品『真夏の夢』が、<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>のフォアキャスト部門に史上最年少作品として正式出品。2016年には、映画「脱脱脱脱17」 が、<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>の審査員特別賞、観客賞を受賞。現在は慶應義塾大学総合政策学部に在籍。映画、テレビ、ミュージックビデオ、広告など、幅広いジャンルで活動している。

23歳の映画監督・松本花奈が、青春の思い出を振り返りながら繰り返し聴く、Spotify プレイリスト「Drive song」とは。

学生時代から何度もループしてきた楽曲。

今までで一番インスピレーションを受けた音楽は?

松本:andymoriの「シンガー」です。高校生の頃、朝の通学電車でよく聴いていました。5年ほど経って最近また聴き出しているのですが、改めて歌詞もメロディーも染みるなあ、と思います。

年代によって、曲の捉え方は変わりますよね?

松本:そうですね。わたしは好きになった曲を繰り返し聴くのですが、やはりその時々で感じ方は違います。ちなみに、「シンガー」の歌詞は完全に記憶しているので、脚本や絵コンテを書く作業の時に聴きながら、ノリノリで一緒に歌うこともあります。

松本:好奇心から制作を始め、高校生で映画祭へ出品。

学生時代から映画作品を発表していますが、まず映像制作に興味を持ったキッカケは?

松本:中学生の頃、『鈴木先生』(2011年)というドラマへ出演させていただいた時、撮影する側のお仕事に興味を持ったんです。撮影がお休みの日に、カメラマンさんともう一人の共演者で、「なにか映像撮ってみようよ」と、海や公園に出掛け、遊び感覚でカメラを回しました。そこで撮った映像を編集して、ダメもとで<ぴあフィルムフェスティバル>に出してみたんですよね。もちろん落選しましたが、悔しいという気持ちがありました。そんな気持ちが残っていたので、高校に入ってから、また映像制作を始めるキッカケになったと思います。

賞に応募するというのは、かなり本気だったんですね?

松本:誰かに観てもらいたいという気持ちがありました。今ならYouTubeにアップするなど、いろいろな方法がありますが、当時はまだネットへアクセスする免疫がなかったんです。人に観てもらうなら、映画祭だと考えて応募しましたね。

実際の学園生活はどうだったんですか?

松本:小学校からダンスを習っていて、高校でダンス部に入りましたが、上下関係が本当に厳しかったんです。こちらその後、校内で問題になったようなので一応カットでお願いします。今は全部ひっくるめて良い思い出ですが、当時は先輩が怖くて怖くて(笑)それで、学校外で楽しみを見つけようと思った時に、改めて映像を撮りたいと思ったんです。

映画研究部など、部活ではなく?

松本:そうですね。うちの高校には映像系の部活がなかったので、いろいろ調べたところ、全国各地の高校生が集まる映像制作団体<KIKIFILM>を見つけ、メンバー募集に応募したんです。2年生の夏休みに、熱海にメンバーで集合して撮影しました。それがものすごく楽しかったんです。

夕張ファンタスティック映画祭に出品した『真夏の夢』(2014年)は、何本目の作品だったんですか?

松本:長編としては1本目。その前に『真夏の夢』にも出演していただいた女優の寺坂光恵さんとショートフィルムを撮ったので、作品としては2本目になります。『真夏の夢』は上映されたものの、コンペ部門では落選してしまっていたんです。その時に、来年こそはコンペ部門へいきたいと思い、すぐに『脱脱脱脱17』を撮り始めました。

目標通り『脱脱脱脱17』(2016年制作)では、夕張ファンタスティック映画祭の各賞を受賞しましたね。

松本:17歳の時でした。音楽と映画を掛け合わせることをテーマにした<MOOSIC LAB>の中から生まれた作品で、ミュージシャンとコラボレーションして、映画を作るという企画でした。青春をテーマに作品をつくりたい旨を伝えたところ、スタッフの方からthe peggiesを紹介していただきました。最初は主題歌や、歌詞の世界観を引用して作品を作る予定でしたが、ライブを見に行ったところ、ボーカルの北澤ゆうほさんの魅力に圧倒され、ヒロインを演じていただけないか、とお願いしました。

完成時や映画祭に出品された時は、どんな気持ちでしたか?

松本:同世代のスタッフと制作し、みんなで泣きましたね(笑)。『脱脱脱脱17』のスタッフは、現在も一緒に仕事をする人もいるし、これからも仲良くしていきたいです。

青春映画から、ポジティブな力をもらう。

今のところ、松本さんは青春をテーマにした作品が多いですね。青春というテーマのどんなところに惹かれるんですか?

松本:個人的な考えですが、青春って初めての感情に沢山出会う時期だと思っていて。初めてだから、感情が敏感になっている。それが大人になっていくにつれて、生きることに慣れてきて、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなる。それが成長しているということでもあり、寂しくもあり。だから、青春を取り戻したいというか、吸収したいと思っているのかもしれません。

青春を感じる作品から、どんなことを吸収されるんですか?

松本:何かに全力で向かっていくまっすぐさに刺激を受けて、「あぁ、自分も頑張んなきゃ」と励まされることが多いです。例えば、八木莉可子さんが出演されていた『ポカリスエット』(2018年オンエア)のCMは、青空の下、4000人を超える学生がダンスをしていて。自分の憧れが詰まっているんですよね。

編集のテンポを定めるために、音楽は欠かせない。

作品を制作する時、まずはどこから作るんですか?

松本:最初に「こういう画を撮りたい」とか「こういう色のテイストにしたい」という、ビジュアルイメージが先行して浮かんできます。そこからどういうストーリーにするか組み立てることが多いですね。

そうすると、ストーリーとのバランス感が大切ですね。

松本:リアリティテイストな作品だったとしても、どこかひとつ、ビジュアル的に印象に残るファンタジー的要素のある描写を入れたいと思っています。大学に入ったばかりの時、ミュージックビデオ(以下、MV)の勉強をするために、MV監督のアシスタントをしていた時期があったんです。MVやプロモーションビデオは、力強い画というか、非現実的な要素を入れていくことが多い。そこでビジュアル先行という発想を学び、映画やドラマなどにも用いることが増えましたね。

音楽からインスピレーションを受けることはありますか?

松本:あります。作品を作る上でテンポはとても大切。編集ではラフの段階から仮でも音楽をのせます。撮影前でも、シーンでイメージする曲がある場合はスタッフキャストに共有するようにしています。

視覚的なものからインスピレーションを受ける時は?

松本:写真はよく見ます。写真展に行くこともあるし、広告のポスターの写真なども面白いものが多いです。

丁寧に時間をかけるほど、作品の質が上がっていく。

幅広いジャンルを手掛けられていますが、制作する上で大切にしていることは?

松本:その時々の自分の視点で描くように心がけています。無理に背伸びもしないし、過去にこだわりもしない。その瞬間に感じていた想いをおさめていきたいです。

高校生から映画を制作してきて、心境の変化はありますか?

松本:やはり時間をかけて熟考を重ねた分だけ、ちゃんと作品に出ると思いました。当然のことですが、練れば練るだけどんどんよくなっていくことを実感しています。

ご自身で細部にまでこだわり、時間をかけるというのは、作品の規模が大きくなるほど大変になるイメージですが。

松本:そうですね。どれくらいの人の意見を取り入れていけばいいのか、その判断が難しいと感じています。いろいろな人から意見やアドバイスを聞き、よくなっていく時もある。でも、あまりに多くの意見を聞いていると、収拾がつかなくなってくる。取り入れ過ぎると、作品が滑らかになってしまい、いい部分まで中和されていってしまう気がしていて。そのジャッジはシビアだといつも思っています。

ミュージシャンや楽曲の本質を視覚化するミュージックビデオ。

制作されたMVの中で、特に印象的なのは松本さんと同じ年の井上苑子さんの作品。青春の真っ只中という印象の「大切な君へ」(2015年)、その5年後に大人の気配が漂う「ぜんぶ。」(2020年)の2曲を制作されていますね。

松本:「ぜんぶ。」の撮影前、苑子ちゃんとMVのコンセプトを考えていた時、大人というワードを大事にしようということになって。5年前から成長した雰囲気にしたいと話していたんです。そこで「大切な君へ」に出演してもらっていた市井直樹さんに再び出ていただき、「ぜんぶ。」で苑子ちゃんの彼氏役をやってもらいました。

「大切な君へ」は仲良しグループの中の男子が引っ越す形で、別れていきますよね?もしかして、「ぜんぶ。」の中で5年後に都会で再会するということですか?

松本:それは見る方の想像にお任せして(笑)。

見ている人へ、考えさせる余地を残すというか?

松本:全部わかってもらう必要はないといいますか、余白がある方がいいとは思っています。

HKT48「キスは待つしかないのでしょうか?」(2017年)は、松本さんのイメージも残しながら、ダンスシーンが中心。MVと制作方法は違いましたか?

松本:曲を聴いて膨らませたストーリーシーンだけでなく、ダンスシーンも撮ることは初めてだったので新鮮でした。撮影現場で驚いたことは、メンバーの皆さんのダンススキルがとにかく高いこと。そして、フリを覚えるのが驚異的に早い(笑)。数々の訓練の成果もあると思いますが、一体どういう仕組みで記憶するんでしょう。プロのお仕事を垣間見ることができました。

小説を映画化する時、こだわったこと。

来年公開予定の長編最新作『明け方の若者たち』は、カツセマサヒコさん原作の映画化ということですが、どのようなキッカケだったんですか?

松本:以前からカツセさんの書く文章のファンで、小説を出されると聞きずっとワクワクしていました。発売されたと同時に読んで、すぐにその空気感の虜になりました。その後、映画化に向けて動き出しました。

小説や文学を映像にすることに関して、気をつけたことは?

松本:小説『明け方の若者たち』は、感情のディティールがすごく細かい。だから登場人物たちが言葉にしていない内面的な想いを、映画でもちゃんと表現しなければいけないと思っていました。

演出の部分で意識したことはありますか?

松本:物語は主人公が大学4年生から始まり、そこから社会人になって26歳になるまでの時間を描いています。年代ごとの微妙な精神年齢の変化をどう演出するか、は特に意識しました。

今後、どういう作品を撮ってみたいですか?

松本:ドキュメンタリーを撮ってみたいです。家族ものに興味があるので、いつか挑戦してみたいと思っています。

制作の作業時は、同じ曲をループして聴く。

作業中に音楽を流すことが多いということですが、どんな曲を聴いているんですか?

松本:普段から、同じ曲をひたすら繰り返し聴いていますね。1曲を1時間くらいループして、また別の曲という。andymoriの「シンガー」は、最高で3時間くらいはいけます(笑)。

Spotify Premiumだから、同じ曲を繰り返し聴けますよね。延々と一曲をループする中で、映像が浮かぶことはあるんですか?

松本:ループしている曲はどれも好きな曲なので、聴いている内に「こんなMVにしたらおもしろそうだなぁ」と想像することはありますね。

MVを作ってみたいと思う曲やアーティストは?

松本:Vaundyさんです。『東京ラブストーリー』(2020年版)の主題歌「灯火」を担当されていて知ったのですが、その甘い声と、ワードチョイスのセンスの良さに衝撃を受けました。

ご自分からミュージシャンへアプローチして、MVを撮ることはあるんですか?

松本:2年ほど前、崎山蒼志さんへは自分から連絡して、「国」という曲のMVを撮らせていただきました。

独自のプレイリストの使い方とは!?

松本さんは独特のSpotifyのプレイリストの使い方をされているそうですね。

松本:曲順が文章になるようプレイリストを作り、友達と送り合うのにハマっています(笑)。例えば1曲目は「おはよう」という曲を選び、2曲目に「調子はどうだい?」という流れで。メッセージにするんです。

めちゃくちゃクリエイティブですね!

松本:遊びのつもりでしたが(笑)。送られてきたプレイリストの中には、その後ずっと聴き続けているような曲もあります。出会いというのは、どこにあるかわかりません。

青春が加速する、オリジナルのトラックリスト。

今回、特別にプレイリストを作っていただきましたが、テーマを教えてください。

松本:「Drive song」というテーマにして、15曲選ばせていただきました。最近、免許を取ろうと思って申し込みをしたところなので。アップテンポで、夏っぽい曲が多いかな。

まずはZOMBIE-CHANG「愛のせいで」から。

松本:知り合いの監督さんが、毎年自分の誕生日に、既存MVをオマージュしたMVを作るんです。自分で出て、自分で撮って、自分で編集して(笑)。それで昨年の誕生日はZOMBIE-CHANG「愛のせいで」のMVをオマージュしていました。その時に初めて「愛のせいで」を聴き、好きになったんです。ドライブがスタートした時、初めに聞きたいと思って1曲目に選びました。

2曲目は、江本祐介「ライトブルー」。アップテンポで、今の季節にぴったりですね。

松本:海沿いをドライブしながら聴きたいです。男性っぽすぎない、高音の声が心地よく入ってきますね。この曲はMVも素敵なんです。文化祭準備の数日前から始まり、どんどん完成に近づいていく。そんな熱い青春の日々を、ワンカットの長回しで撮影していて。とても刺激を受けましたね。

Vaundy「Bye by me」は、優しい曲ですね。

松本:歌詞の絶妙なメンヘラ感にすごく共感します。これは夜中に延々聴いています。

ヤユヨ「さよなら前夜」は、大学在学中の女性4人組のバンド。

松本:友人の影響で聴き始めたのですが、めちゃくちゃオリジナリティが強く、カッコいいんです!

3曲目はnever young beachの「夢で逢えたら」。心地のいい緩さが印象的ですね。

松本:冒頭からリズムが一定じゃないというか、独特の浮遊感があって。楽器演奏と歌声のテンポがミスマッチにも聴こえて、クセになります。

続いてはMom「プライベートビーチソング」。松本さんが監督と脚本を手掛けたオムニバスドラマ「スポットライト」の一編、『Temporary room』の主題歌が、Momさんの「PT」でしたね。

松本:Momさんの音楽は、独特のエモさを感じます。「プライベートビーチソング」のMVを撮るなら、海で撮った方がいいのかな。それだと普通過ぎるので、あえて冬に撮っても面白いかな。

ここでクールダウンするiri「会いたいわ」がいいですね。

松本:実は一週間ほど前、SpotifyのChill Out Playlistを聴いていた時に、オススメで出てきて知りました。わたしはミュージシャンから入るよりも、まず曲を好きになって、アーティストを調べることが多いかもしれない。だから、Spotifyのレコメンド機能をすごく活用しています。iriさんの他の曲も、今後お気に入りになりそうです。

ここで賑々しい櫻坂46の「Buddies」がきました!

松本:知り合いのカメラマンさんがMVを撮っていて、この曲を知りました。アッパーで盛り上がるんですよね。

最後は秦基博「Rain」。いいエンディングですね。

松本:新海誠監督の映画『言の葉の庭』(2013年)の主題歌です。映画を観た後、サントラをSpotifyで聴くことが多いんですよね。曲を聴くと、映画の中の様々な情景が浮かんできます。

松本花奈さんのプレイリスト『Drive song』は、山崎まさよしやHalf Time Old、kojikojiなど全15曲。Spotify Premiumなら、松本さんが考えた通りの曲順で聴くことができますし、松本さんと同じように気に入った曲を繰り返し聴くこともできます。今回、プレイリストを作ってみていかがですか?

松本:我ながらいい曲ばかりですね(笑)。良ければ是非チェックしてみてください。

愛読してきた、クリエイティブの辞書とは。

松本さんからリスナーの皆さんへ、カルチャーの探求心を育てる貴重な私物をプレゼントしていただきますが、プレゼントはなんでしょうか!?

松本:雑誌MdN 2018年12月号「映像監督8人に聞いたMV43曲」です。あいみょんさんやSHISHAMOさんなどのMVについて、制作過程や技術、機材などが載っていて、当時書店で買ったものです。MVの発想はどのようにして生まれたのか? 監督から話を聞けることは、まずないと思うので貴重な一冊だと思います。

どんな人にプレゼントしたいですか?

松本:音楽好きな方とか、MV好きな方にプレゼントしたいと思います。

今から、松本花奈さんがテーマを発表しますので、テーマに基づいたエピソードを一緒に書いてエントリーしてください。テーマの発表をお願いします。

松本:好きなミュージックビデオと、その理由をお願いします。

松本さんが好きなMVは?

松本:DAOKO「かけてあげる」です。差し込む光と鮮やかな色彩に何度見ても吸い込まれそうになります。

最後に、映画監督松本花奈さんにとって音楽とは?

松本:音楽とは、思い出だと思います。その時の心境や生活、環境がセットになり、記憶に残っていくもの。これからも音楽のある人生を送っていきたいです。

松本花奈
1998年大阪府生まれ、23歳。幼少期から子役として活動。中学2年生から映像制作を開始。2014年、16歳の時に制作した初の長編監督作品『真夏の夢』が、<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>のフォアキャスト部門で、史上最年少作品監督の作品として正式出品。2016年には映画「脱脱脱脱17」 が、<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>の審査員特別賞、観客賞を受賞。その後、映画かもちろん、テレビなどのドラマ、ミュージックビデオ、広告など、幅広いジャンルで活動している。現在は、慶應義塾大学総合政策学部に在籍。

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